Introduction Data

導入年月2020年4月
利用ユーザ数30名
導入形態クラウド
導入目的訪問看護・介護・リハビリ事業所と病院間の連携
記録のICT化による「紙による管理」の縮減
訪問看護・介護・リハビリ業務の質の平準化と向上
現場での業務確認から請求まで一気通貫した業務の実現

訪問看護・介護・リハビリ業務における膨大な紙カルテによる事務量の軽減

訪問看護・介護・リハビリ業務における現場スタッフの業務効率化

訪問看護・介護・リハビリサービスの質の平準化と向上

急性期病院グループ内の訪問看護・介護・リハビリ拠点

 岐阜県笠松町の松波総合病院内に拠点を構える「まつなみ訪問看護ステーション」「まつなみ訪問介護ステーション」「松波総合病院訪問リハビリテーション事業所」には、3事業所あわせて約30名のスタッフが勤務し、訪問看護・介護・リハビリサービスを利用されている方(以下、利用者)は約300名になります。県内でも比較的大規模な訪問看護・介護・リハビリテーション事業所で、笠松町の社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院という総合病院内のグループとして訪問看護・介護・リハビリテーション事業を行っています。

 「松波総合病院はいわゆる急性期医療が充実した病院として知られ、私たちの訪問看護・介護、リハビリテーション事業もいわば急性期の患者さまが入院されて退院されたあと、在宅での看護や介護、またリハビリテーションでも病院と連携をとりつつ行えることを強みとしています」(所長の早藤麻衣さん)。スタッフの内訳はヘルパーが7名、事務員が3名、リハビリテーション事業所の専任スタッフが4名、他は訪問看護・介護のスタッフで、一部兼務になっているケースもあります。

 ちなみに3事業所について、「まつなみ訪問看護ステーション」と「まつなみ訪問介護ステーション」は松波総合病院とは独立した組織で、松波総合病院訪問リハビリテーション事業所は2020年に松波総合病院のなかの1つの部署としてスタートしたという位置づけになります。

「極力、紙を減らしたい」この気持ちからたどり着いたシステム

 所長の早藤さんは『Medicare』導入の経緯を次のように語ります。「もともと訪問看護・介護の分野においてもカルテをはじめ、さまざまな患者さまの情報や資料が紙で保存されていることが保管や業務効率化などの面で大きな課題となっていました。一言でいうとその状況を克服し、『紙を極力減らしたい』というのが念願で、紙の資料や情報、紙にまつわる業務をICT化すれば、業務全体の効率化が図れると考えていたのです。そこで、4年ほど前からICT化に関連するベンダー、医療系システム会社などから資料を取り寄せていたところ、インフォファームの『Medicare』というクラウドベースのシステムに出会いました。ご担当の営業の方と何度も打合せを重ねて、2020年4月に本格的な導入をしました」

 その『Medicare』は、毎日のケア記録やスケジュール管理、さらにコンダクト社のFlowers NEXTと連携することにより請求書の発行などまで一気通貫でCHASEにも対応できますが、まつなみ訪問看護ステーション、まつなみ訪問介護ステーション、松波総合病院訪問リハビリテーション事業所では、請求書の発行についてはずっと他のベンダーに対応してもらっていたようです。そのため、事業所業務を一気通貫するようになったのは、2020年の秋からです。

 早藤さんは、『Medicare』を選んだ理由として、コンテンツをカスタマイズに臨機応変に対応してもらえたことに加え、トータルでコストパフォーマンスに優れていたという点を挙げています。「訪問看護・介護・リハビリテーション事業所として必要不可欠な確認項目のカスタマイズはもちろん、松波総合病院とのネットワークも視野に入れた対応が可能なことも重要です。電子カルテで患者さまとご家族と、当事業所や病院全体の連携がとれていることが大事なのです」と語っています。

具体的に、現場でどう『Medicare』を活用しているのか

『Medicare』を通じて介護業務をどのように行っているか、一例としてスタッフの立場から見ていきましょう。

 まず、スタッフは事前に入力しておいた訪問スケジュールを確認し、在宅の要介護者(利用者)の住むお宅へと伺います。利用者宅ではスタッフの個人認証用のカメレオンコード(接写をしなくても、高速・高精度の認識が可能な次世代カラーバーコード。介護の現場で活用すれば、バーコードに紐づいた活動内容・報告をいち早く、簡単に読み込むことができる)をかざすと、そのスタッフ自身の認証を行います。

 さらに、利用者用にあらかじめ付与されたカメレオンコードをかざせば、『Medicare』を搭載したスマートフォンやタブレット端末の画面上に、当日のサービス内容を自動で呼び出すとともに、個々の利用者に関する指示事項などが表示され、サービスを開始できます(訪問介護の特別事業所加算対応)。

 そして、個々のサービスを提供するつど、チェックしていくと、サービス内容を示した画面上の背景色が変わるなどして確認できます。さらに、利用者情報を確認のうえ、その日の介護記録を記入していくと、それが介護記録として登録されます。この時点で特記事項や申し送り事項があれば、その内容を入力することで、より細かな訪問情報として記録され、あわせてその日のサービス提供内容を記した提供表が表示されます。

 一連のサービスが完了し、スタッフが利用者用のカメレオンコードをかざせば、当日の提供表やサービス完了通知が利用者の家族のもとにもメールで届きます。そして、『Medicare』の画面上は、サービス完了画面へと移行します。その時、スケジュール表の背景色がサービス提供済みを示す色で表示されます。

 一方、事業所側ではどのように活用されるのでしょう。まず、スタッフのサービス提供状況など、スタッフの訪問・サービス提供活動、訪問予定・実績情報などが随時確認でき、請求業務も自動化できます。もちろん、各スタッフが入力したスケジュールを確認しながら、シフト管理やスタッフへの指示出しなども行うことができます。

「どのようなカスタマイズを行なったのか

 まつなみ訪問看護ステーション、まつなみ訪問介護ステーション、松波総合病院訪問リハビリテーション事業所の活用する『Medicare』では、どのようなカスタマイズを行なったのでしょうか。『Medicare』には、前述のようにカメレオンコードという機能が搭載されていて、カメレオンコードに組み込まれた情報が端末を立ち上げた瞬間にポップアップメニューとして表示されるようにしています。この方式によって看護師からの指示内容や申し送り事項などの確認モレを防いでくれます。このようなしくみは、ともすれば個々のスタッフの属人的な面で差があった訪問看護や介護、またリハビリの質の平準化にもつながっています。

 また、現場での確認項目については、ほとんどの項目を現場スタッフの使い勝手を優先してカスタマイズされています。たとえば、個々の項目によってフリー入力があると、書き手によってムラが出て、場合によっては見逃してしまう可能性もあります。そこで、入力すべき項目は極力「ある・なし」などの2択方式にしました。

 また、血圧など数値で入力し、変化を確認したい項目についてはグラフ表示されるように設定されています。さらに、人体の表裏を示した簡易図を端末上に表示し、訪問時にサービス利用者が感じている「痛いところ、痒いところ、腫れているところ、傷跡」などを、タッチペンで塗りつぶし、書き込めるようにもしました。これまでは訪問の現場で聞き取り、手書きでカルテに書き込み、報告しなくてはいけなかったものを、デジタルで表現し、瞬時に報告できるようにしたのです。

 なお、音声入力機能もついているので、訪問現場での情報対応は、ほぼすべてがICT化されたといってよいでしょう。

訪問の現場以外でも多くのメリットを発揮

 『Medicare』を使ってみてのメリットは、まず事務所側としては現場スタッフのスケジュールを横断的に確認できるのでシフト調整が行いやすくなったことが挙げられます。かつてはホワイトボードに書き記していたスタッフの行動予定も、画面上で個人が管理し、また、他のスタッフや上司も出先で確認することができるようになりました。

 また、日次のミーティングやスクリーニング(審査確認)、月次のカンファレンス(症例検討会議)などでも、利用者個人の情報を踏まえることによってきめ濃やかな対応ができます。

 現場スタッフも紙から電子に変わったことで、スタッフが記録資料を紛失したりすることもなくなりました。 「かつては分厚い資料の山を抱えて患者さまのお宅を訪問していた人もいました。落として紛失したり、汚してしまったりといったこともあった。そういう直接的な負担やリスクが軽減されたわけです」

 加えて、訪問ケアの現場での“独り作業”に伴う不安感も軽減できたようです。今後は必要に応じてテレビ通話機能を搭載すれば、緊急時の対応や処置に対する不安感の払拭にもよりつながるでしょう。

 なお、個々の利用者に関する看護師からの指示も『Medicare』を通して行うことができるので、口頭で行っていた指示・伝達事項についても曖昧さを排除して正確に伝え、忘れることなく実行できます。さらに、報告については画像・動画添付もできるので、看護師側も正確に確認できるようになりました。

現場スタッフにとっての使い勝手のよさを求めて日々進化

 導入して約半年。まだICT化に慣れていないスタッフもいないわけではありません。タブレットへの打ち込み作業が面倒だと感じるスタッフもいます。また、利用者の前で端末に向かうと、自分がタブレットやパソコンに管理されているような気持ちになる人がいないとも限らず、その点はミーティングなどで注意喚起しているようです。そうしたICT化への馴染みの差があることは否めません。

 「しかし、総じていうと、施設利用者である患者さまとそのご家族、現場スタッフと3つの事業所、さらに総合病院などとのネットワーク・連携は強化され、そのぶんだけ現場スタッフが患者さまに寄り添い、提供するサービスの充実に時間をかけることができ、看護や介護、リハビリの質の平準化と向上に寄与しています」

 今後は、何より現場スタッフにとって使い勝手がよい機能強化を図り、3事業所及びケアマネ、老健とも情報共有と連携を進め、一方でスタッフの募集などにも活用できればと考えているようです。早藤さんは、「ともすると “紙の文化”から抜けきれなかった訪問看護や介護、リハビリなどの業界にとって『Medicare』はICT化に貢献してくれました。今後もICT化を業務全体の質の向上につなげていきたい」と語っています。

訪問看護ステーション・訪問介護ステーション
所長 早藤麻衣看護師

  Company Data

設立1998年9月
本社所在地岐阜県羽島郡笠松町田代185-1
職員数3事業所で約30名
営業所まつなみ訪問看護ステーション、まつなみ訪問介護ステーション、松波総合病院訪問リハビリテーション事業所
事業内容訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護、居宅介護支援、
介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所療養介護、介護老人保健施設
Webサイトhttp://www.matsunami-hsp.or.jp/

お電話でのお問い合わせ

058-279-5732

受付時間/9:00-17:00(休業日/土日祝日)