社会福祉法人
高浜市社会福祉協議会 指定訪問介護事業所 様
Introduction Data
導入年月 | 2014年3月 |
利用ユーザ数 | 30名 |
導入形態 | オンプレミス |
導入目的 | 訪問介護サービス利用者の情報共有、介護記録の入力 |
Point
24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス開始にあたり、
外出先から利用者情報を参照したり、ヘルパー間で情報を共有することが不可欠になった
『戦略箱』を介護サービス向けにカスタマイズし、『こころん』と名付けて導入
外出先からスマートフォンで介護記録を入力し、介護保険請求書の作成に役立てている
高浜市社会福祉協議会は、同市における社会福祉活動の推進を手がける非営利の民間組織。高齢者や障がい者の在宅生活を支援するため、ホームヘルプサービス(訪問介護)や配食サービスを始めとする福祉サービスなどのほか、地域の特性をふまえ、多様な福祉ニーズに応える独自事業に取り組んでいる。
その一角を占める同協議会のヘルパーステーションでは、指定訪問介護事業所、指定訪問入浴介護事業所、「こころんサービス(障がい者の在宅介護や自立支援)」事業所の3事業を運営。
指定訪問介護事業所では、約30名のヘルパーが24時間365日体制で、要介護認定または要支援認定を受けている利用者を対象に訪問介護サービスを実施している。主なサービス内容は、身体介護(食事、入浴、排泄、身体の清拭、洗髪、通院等の介助)および生活援助(洗濯、清掃、調理、生活必需品の買い物)からなる。
同協議会の2015年度事業報告書によれば、同年度の訪問介護サービス利用者数はのべ1431人で、利用回数はのべ2万2111回に及ぶ。1日24時間365日体制で訪問介護サービスを提供するなかで、利用者が「ベッドから落ちてしまった」、「トイレで転んでしまった」などの緊急事態に、ヘルパーが電話1本で駆けつけることも日常茶飯事だ。
同訪問介護事業所が『戦略箱』の導入を検討したのは、「①日中・夜間を通じて、②訪問介護と訪問看護の両方を提供し、③定期巡回と随時の対応を行う『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』」(厚生労働省ホームページ「定期巡回・随時対応サービスの概要」)が、2012年4月に創設されたことがきっかけだった。
それ以前から、独自に24時間訪問介護サービスを実施していた同訪問介護事業所では、事業所にヘルパーが不在の場合、利用者からの電話を各ヘルパーの携帯電話に転送し、誰でも外出先から対応できる体制を敷いていた。
ところが、ヘルパーが外出先でサービス利用者からの電話に対応する際、不便が生じることも少なくない。同訪問介護事業所・サービス提供責任者の中野厚子主査は、「以前、当事業所を利用して間もない方から『立てなくなったので起こしてほしい』と電話があったのですが、私はその方がどこにお住まいなのか、どんな状況で生活していらっしゃるのかを知りませんでした。そこで一度、事業所に立ち寄り、資料に目を通してからご自宅に伺ったのです」と話す。
同訪問介護事業所では、1人の利用者に決まった担当者がつくのではなく、チームで訪問介護に対応している。そのため、サービス利用者本人にどんな疾患があり、最近の心身の状態はどうか、家族はどんな状況かといった情報を、チームの全員が共有することが欠かせない。
また利用者の要介護度によっては、1日に3回、4回と訪問しなければならないこともある。そうしたケースでは、夜間や深夜の訪問介護で起きた出来事や利用者本人の状態を、翌朝に訪問するヘルパーに伝える必要が生じるが、深夜をまたぐ引き継ぎを携帯電話だけで行うことは難しい。そこで、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを開始するにあたり、約200人にのぼる訪問介護サービス利用者の情報を集約し、ヘルパーがいつでもどこからでも情報を閲覧し、共有できるシステムが必要になった。
こうしたなか、2014年3月に『戦略箱』は、『こころん』と名前を改め、介護分野としては初めて同訪問介護事業所に導入された。
『こころん』の導入によって、懸案だった情報共有がスムーズに行えるようになった。
スマートフォン対応で外出先からでも容易に利用が可能。たとえば各ヘルパーが「利用者の○さんが昨日の夜に入院した」などの情報をスマートフォンから投稿すれば、同じチームのヘルパーやチームリーダーの『こころん』画面に、その内容が新着情報として表示される。
また、チームによる訪問介護では、利用者の都合や体調などにより、訪問日時の変更が頻繁に起こるため、勤務シフトの管理にも手間がかかる。こうした点も、『こころん』の活動管理機能で各ヘルパーのスケジュールを共有し、権限のあるチームリーダーが予定を変更したり追加するといった作業を随時行えるようになり、大きく改善された。各ヘルパーには翌日の予定を記載したリマインダーメールが自動配信され、スケジュールの確認に役立っている。
もう1つの大きな変化は、『こころん』を使い、外出先からスマートフォンで介護記録を作成できるようになったこと。同訪問介護事業所では、他社の介護施設向け基幹システムで介護保険請求書の作成・発行を行っているが、その元情報となる介護記録を『こころん』で日々入力し、基幹システムにデータをエクスポートしている。
入力の手間を省く配慮が行き届いているのが大きな特徴。チームリーダーが各ヘルパーとスケジュールを調整・決定し予定表を作成した時点で、『こころん』の介護記録には、何月何日の何時から何時まで、誰がどの利用者の自宅を訪問する、といった基本情報が自動的に入力される。外出先からスマートフォンで楽に入力できるようにテンプレートが用意されているのも大きな特徴で、各ヘルパーはたとえばお湯でタオルを濡らして身体を拭く「清拭」作業なら、「全身」もしくは「部分」のチェックボックスをクリックして作業内容を記録し、特記事項をテキスト入力するだけで作業が終わる。
訪問介護サービス利用者の大切な個人情報を共有することに対する配慮も欠かせない。同訪問介護事業所では、ヘルパーに個人情報を扱うことの重要性を周知徹底し、『こころん』にアクセスするスマートフォンの管理も厳重に行っている。またスマートフォン側と『こころん』のシステム側で多重にセキュリティをかけて、情報流出などのトラブルを未然に防ぐといった対応が採られている。
『こころん』と名前を変えた『戦略箱』本来の特徴の1つであるコミュニケーション機能、たとえば「アドバイス/コメント配信」機能も、訪問介護サービスの日常業務を支える心強い存在だ。
「チームのメンバーが日々の作業内容を『こころん』に登録すると、チームリーダーはその内容をチェックして承認する『検印』作業を行います。その際、リーダーは『こころん』で利用者の詳細情報などを調べたうえで、必要なフィードバックを部下に返すことが可能です」と、同訪問介護事業所のサービス提供責任者である斎藤真紀さんはいう。
部下が登録した介護記録に目を通したリーダーが、たとえば「ここが心配だから次によく見てきて下さい」とコメントを送ると、部下の『こころん』画面の新着情報にその内容が表示される。こうした上司のアドバイスやコメントが、ときには現場で悩み、試行錯誤をしながらサービス利用者に向き合うヘルパーたちの力になるのだ。
「何か困ったことがあれば、そのコメントを見て問題を解決しています」と斎藤さん。
「私たちの仕事は、ある意味で利用者の命に大きくかかわっているので、情報はチーム全員が共有し、絶対に落としてはならない大事なものだと思います」と中野主査は強調する。『こころん』はその意味で、24時間365日体制で行われる訪問介護サービスにはなくてはならない存在になっているのだ。
㊟導入当時は、『戦略箱』という名称でサービス展開
※この記事は、2016年7月時点の情報を元に作成しています
Company Data
※2021年10月時点
Copyright ©Infofarm Co.,Ltd All Rights Reserved.